【こんな症例も治りますシリーズ 683】 『 セカンドオピニオン診療 ・ 犬の食物アレルギー 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、犬の食事性アレルギーになりやすい食材の一例です。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/WAOrV

 

犬 チワワ 3歳 オス(去勢手術済み)

 

 

 

【 下痢が治らない 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、2ヶ月前から、元気・食欲はあるが下痢・軟便を繰り返すので近院で見てもらい、抗生剤や整腸剤を処方してもらったけど、なかなか良くならないとのことで来院されました。

 

 

 

■ 犬の下痢の原因としては、

 

 

① 食べ物の変化や誤飲誤食

② ストレス

③ 感染症(寄生虫・ウイルス・細菌)

④ 消化器系の疾患(膵炎・悪性腫瘍など)

⑤ 慢性腸炎(リンパ管拡張症・炎症性腸疾患(IBD))や

食物アレルギー(食物不耐性)などの体質が関連する疾患が考えられます。

 

 

 

■ 検査としては通常の血液、レントゲン検査、超音波検査に加え、内視鏡やCT検査の他、必要であればホルモン検査やアレルギー検査などの特殊な血液検査も行うことがあります。

 

 

 

■ 一般的な腸炎の治療としては、

 

① 抗生剤

② 整腸剤

③ 腸疾患 を考慮した食事などがあります。

 

 

 

■ ただ、当然ですが原因に合わせた的確な治療が行われることが重要で、そのためにはしっかりとした検査が必要となります。

 

 

 

 

■■ さて、このワンちゃん、当院でも血液検査、糞便検査(リアルPCR検査も含む)、X線、超音波検査を行った結果、ウイルス、細菌や寄生虫による感染症、また膵炎、リンパ腫等の可能性は除外されましたので、次のステップとして『 食物アレルギー 』および『 リンパ管拡張症 』の鑑別を行うため、アレルギー検査と内視鏡の検査をすることにしたのですが、ここで改めて、普段の食事管理についてお話を伺ったところ、『 食物性アレルギー 』を疑わざるを得ない事実が明らかとなりました。

 

 

 

■ 前述した様に、『 食物アレルギー 』はイヌの下痢の原因の一つで、アレルゲンとなりやすい食べ物としては鶏肉や牛肉、乳製品、小麦などが挙げられます。

 

 

 

■ 症状としては下痢などの消化器症状の他、皮膚の痒み、赤み、外耳炎などの皮膚症状も見られるといわれていますが、ただ、このワンちゃんと同様、皮膚症状は全くみられない場合もあります。

 

 

 

 

■ イヌで元気や食欲はあるものの、これらの症状が頻繁に見られるならば、食物アレルギーの検査方法の一つとしてアレルゲンを除去した除去食を与えてみて、症状が治まるかどうかを観察する除去食試験を行いますが、このワンちゃんの場合は、かかりつけ医の指示で以前より除去食を食べているとのことでした。

 

 

 

■ そのため、当院では血液中のアレルゲンに対する抗体を調べる『 アレルギー反応試験 』を勧めるつもりでした。

 

 

■ ところが、詳しくお話をうかがってみると、これまで除去食を与えていても、下痢が少し良くなると牛肉入りのおやつをあげていたこと、また、振り返ってみるとそのおやつをあげた次の日に、下痢をぶり返していたことに、ハッと気づかれ、少しなら大丈夫だと思い、便の調子が良くなるとご褒美のつもりで与えていたと教えて下さいました。

 

 

 

 

■ 今回の場合、まずは、牛肉入りおやつ止めることと除去食をしっかり与えるという食事管理を徹底してもらうことで、下痢が治まるか否かをみることで原因を見極める重要であることをしっかりとお伝えしました。

 

 

 

 

■ また、その後の結果次第で、次のステップとして内視鏡やCTを考えましょうともお話ししました。

 

 

 

 

■ まだ、検査の途中ですが、これからも、飼い主様と一緒になって的確な治療を考えていけたら思います。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

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